腎臓の機能が低下すると様々なトラブルが起こることが知られています。このため、血液透析を受ける患者さんは、ある程度の基本的な知識を持っておくと非常に役立ちます。血液透析にまつわる基本的なトピックを紹介したいと思います。
血液透析
腎臓の最も重要な役割、それは尿を作ることです。人体というのは常に様々な物質のバランスを保っていて、体の中の水分量、ナトリウム・カリウムなどのイオンの濃度、浸透圧といった体液の組成を保つために、腎臓は常に尿を作り続けています。また、体内で不要になった老廃物を捨てる経路としても、尿は非常に重要な役割を果たしています。
腎臓の機能が破綻してしまうと尿毒症という病気になってしまい、食欲低下や倦怠感、むくみや呼吸困難などの様々な体の異常が起こってきます。このように腎機能が廃絶してしまった患者さんに必要になるのが血液透析という治療です。
血液透析は広く人工透析と呼ばれている透析治療の一つで、体から血液を抜き取り、透析器に通すことで血液中から不要な成分を除去し、きれいになった血液を体内に戻すことで、体液を正常に保とうとする治療です。血液透析を行うことで腎機能が落ちてしまった患者さんでも長期間生存することができるようになり、日本でも30万人以上の患者さんが血液透析治療を受けています。
血液透析は一般的には1回4時間、週に3回というペースで行うことが多く、人によってこの回数や時間を調整していきます。
腎性貧血
腎臓の隠れた役割の一つとして、血液を作る手助けをする機能があります。これは腎臓から作られるエリスロポエチンというタンパク質の働きで行われていて、血液中の赤血球を増やす働きがあります。このため腎臓の機能が失われてしまった慢性腎不全の患者さんは血液中の赤血球が不足し、いわゆる貧血の状態になってしまいます。これを腎性貧血といい、ちょっと運動しただけで息切れがしたり、疲れやすくなったり、立ちくらみなどを頻繁に経験するようになります。
腎性貧血の主な原因は体内のエリスロポエチンの不足ですが、それ以外にも鉄欠乏、尿毒素の影響、低栄養、炎症など多くの要因が関与しています。現在では赤血球増血刺激因子製剤を投与する治療が行われており、慢性腎不全の患者さんでも貧血を改善して元気な生活が送れるようになりました。
血液透析を受けるほど腎機能が低下している場合には、腎性貧血に注意するようにしましょう。
CKD-MBD
CKD-MBDは慢性腎臓病と骨ミネラル代謝異常という意味です。
腎臓は体内のカルシウム・リンといったミネラルの分量を一定に保つ上で非常に重要な役割を果たしています。腎臓の機能が低下してしまうと、体内にリンが蓄積するようになり、高リン血症を起こします。このような状態は血液透析や腹膜透析などの人工透析を利用していても、食事のコントロールが悪かったり、透析をきちんと継続できない場合に起こり得ます。
さらにミネラル代謝に重要なビタミンDの活性化が阻害されたり、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌が亢進した状態になり、これらが続くと骨の異常や血管の石灰化といった全身の様々な異常が出てきてしまいます。
CKD-MBD治療の目標は、心血管合併症や骨折を減らして死亡率を低下させることです。食事療法と定期的な服薬を心がけ、定期的に全身のチェックを受けるようにしましょう。
心血管合併症
慢性腎不全になってしまった患者さんが注意しなければいけない合併症の一つに心臓や血管の病気があります。
腎臓の機能が低下している人は高い確率で高血圧・糖尿病を発症していることが多く、特に日本の透析導入の原因第1位は糖尿病と言われています。これらの病気を合併していると心臓や血管に負担をかけてしまいます。また慢性腎不全のために過剰な水分や尿毒素、カルシウム・リンが蓄積することも悪影響を及ぼします。
このような状態が長期化すると、心臓に栄養や酸素を送っている血管が閉塞して心筋が壊死してしまう心筋梗塞や、心臓の機能が低下して十分な血液を送り出せなくなってしまう心不全、脳の血管が閉塞したり、破裂したりすることで起こる脳卒中など、命にかかわる重篤な合併症を引き起こすことがあります。
腎臓の機能が低下することで、心血管死のリスクが20~30倍になると言われています。腎機能が低下している時には十分に注意しておきましょう。
血管アクセス
血液透析を始める時にまず必要になるのが血管アクセスです。血液透析では長時間にわたって多量の血液を体外に吸い出し、きれいにしてから体内に戻すという処置を行います。このため、ある程度血流が保たれている血管を利用する必要があり、治療のために透析用の血管を作る手術を行います。
一般的には内シャントの造設を行いますが、それ以外に上腕動脈表在化、人工血管埋め込み、長期留置カテーテル挿入などの方法もあります。これらの手術は全て局所麻酔で行うことが可能です。この他にも、緊急時には血管を穿刺するだけで留置可能なカテーテルを血管アクセスとして利用することがありますが、感染や出血、閉塞などのトラブルが起こりやすいので、入院患者さんでの短期間の使用に限られます。
血管アクセスが閉塞、感染などのトラブルを起こした場合は、カテーテル治療や再手術を行います。治療の際は血管の状態や体への負担も考慮し、患者さんにとって最適な方法を医師と相談しながら決定します。困ったことや不安なことがある場合には、いつでもスタッフにご相談ください。
新小岩クリニック
概要標榜科 | 内科 人工透析 | 【自立支援医療(更生・育成医療)指定機関】
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院長 | 正木 一伸 | (日本内科学会総合内科専門医)
所属 | 日本内科学会 日本透析医学会 | 日本腎臓学会 日本循環器学会
総スタッフ | 50名以上 |
透析病床 | 75床 |
外来透析 | 月水金 9:00-22:00 | 火木土 9:00-19:00
住所 | 〒124-0023 | 東京都葛飾区東新小岩5-20-22
電話 | 03-3694-5621 |
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